目薬の副作用

院長 辻中 まさたけ

疾病の治療薬の場合、投与目的以外の作用は副作用と呼ばれている。 眼科領域でよく使用する治療薬に目薬がある。簡単にできそうな「点眼する」ということをしなければならないのだが、なかなかどうして正しい点眼方法をしている方はすくないみたいである。テレビのCMみたいに、「きた〜〜!」といいながら動きながらさしたり、上を向いて黒まなこのところにボトンと落として眼をぱちぱちしたりするのは、まったくもって間違いである。軽く上を向き下まぶたを少し下にアカンベーをさせてそこに静かに一滴だけ落とすのである。計算上半分量はマブタの外に流れ出るが、入っていないと思ってもう一度さす必要はなく、目がしらを抑えて30秒位軽く目を閉じておくのが良いとされる。2本以上ある場合は間隔を5分とる必要がある。前の目薬が洗い流されてしまうためである。目がしらを抑えるのは涙道を通って鼻の方へ行かないように目薬の吸収を良くするためである。さらには身体に吸収されていろいろな副作用を防ぐためでもある。

ところで、緑内障の患者さんにプロスタグランジン合成阻害剤という目薬を処方することが多い。処方する時に、「まつ毛が濃くなったり多くなったりすることがあります。マブタなどが黒ずんでくることがありますし、充血しやすくなります。よく目の周りを洗って下さいね!」という。稀に眼圧が下がらない方をおられるが一般的には良く効くし、特に夜間の眼圧を下げるのに有効と言われ日本人に多いと言われる正常眼圧緑内障の第一選択薬である。 驚いたことにこの副作用を利用したまつ毛増毛剤が東京などの大都市で大ヒット中だとのことである。

以下、ホームページより抜粋;

ラティースはもともと、緑内障治療用の点眼薬として使用されていたビマトプロスト を利用し、アメリカのアラガン社によって開発された医療用のまつ毛育毛剤です。まつ毛の根元に塗ることで、まつ毛を「長く」「太く」「濃く」します。 従来のまばらで短いまつ毛への対処法には、化粧やつけまつ毛からエクステンションまで、 さまざまな方法がありましたが、このラティースは「まつ毛の貧毛」という症状を改善するとして、まつ毛用医薬品としては初のFDA認可を受けた医薬品(処方薬)です。なお、化学療法など副作用で一般的な脱毛と同時にまつ毛の脱毛が発症した患者様にも大きな効果が期待できます。 手に入れるにはもちろん医師の処方箋が必要ではあるが、ジェネリック点眼薬を使用して安価にしようとすることも試みられているみたいである。 女性の美への飽くなき追求は悪くはありませんが、眼科専門医としてはその他のいろいろな副作用を考えると??である。

↑命の限り飛び回るモンシロ蝶々さんたち

 
 
 

 平成23年7月13日
 
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