負のスパイラル

院長 辻中 まさたけ

子供が少ない!

そのために社会保険制度を含めた、日本という国の短期あるいは中期のありようというものが問われている昨今である。有識者の中には地域社会というものが破壊してしまうとか日本国というもの自体が存亡の危機にあると訴える人までいる。ただ、私はしかたがない、とのん気に思っている。

問題なのは子供が少ないことであるが、今の子供もいずれは年を負い、いずれさらに若い世代に頼らざるを得なくなる。長い眼でみれば、今苦しくても少しずつ将来の世代に対して、そして地球に対して負担を軽減していくのは悪いことではないだろう。ただし、もう少しスローペースでいくのがいいのではあるが。

それよりも恐れるのは中国やインドがいずれ直面するだろう日本より急激な少子高齢化の時代である。あるいは、より急激な人口増加である。はたして地球がウンというだろうか?

「自然の摂理」というものを信じますか?

明治初期には3500万人であった日本の人口、今は1億2700万人である。地球は変なほ乳類が増殖したと嫌な顔をしているに違いない。昔は今よりも機械設備や情報網が発展しておらず若い働き手が必要であったし、さらには、戦争、飢饉や疫病がときに起こり、「自然の摂理」的な人口の減少も生じた。現代は社会環境や世界情勢が少し良くなった為に人間様が地球に増殖してきている。少しずつでも、右肩上がりの社会から右肩下がりの世の中の流れ、つまり負のスパイラルを起こさないと、戦争、大地震、未知の伝染病や飢饉が「自然の摂理」的に起こって、地球から淘汰されるような気がしてならない。

数ヶ月前に米国のゴア前副大統領の地球温暖化を題材にした「不都合な真実」というDVDを見たが、その彼が先日にノーベル賞をもらった。

9月にもグアムにのんびりしに行ってきたが、ホテル前の浅瀬に潜ると、今テレビで問題になっているサンゴの白化現象をはじめとした海の異変が本当に判る。10年以上前から同じ場所に潜っているが、ここ2年ぐらい前から特に感じる。サンゴというのは正式には無脊椎動物と呼ばれ、ソフトコーラルというものと特にアンモニアをはじめとした有害物質の少ないきれいな海水とサンサンと降り注ぐ太陽が必要なハードコーラルに大まかに分類される。白化が問題になっているのはテーブルサンゴとして有名なミドリイシというハードコーラルである。このサンゴは表面に繊細な褐虫藻という光合成をするものが共生していて、そこから生きていく上で必要な養分をもらっている。私もかなり苦労して水槽で飼っていた。25度の冷暖房完備に、さまざまな光の波長のメタハライドランプによるカクテル照射、海水は専用の高価な塩を用いて、水道水をさらに精製をした水で作成し、水槽内の水流もタイマーで色々な方向から当たるようにしていた。ひと昔前に、上野公園に中国から贈られてきたジャイアントパンダのリンリンやカンカンなみの待遇であった。自然というものを人為的に作り出すことは不可能であるし、それに近づけることも非常に労力がかかる。

われわれは。経済の発展や成長の下で我々は大事なものを失っている気がする。テレビなどのマスコミでは「自然を大切に!」といいながら株価の動向などの世界経済、さらには大量消費をあおるような話題をいまだにたれ流している。

もっと、負のスパイラルを甘んじて受けて、地球が悲鳴を上げていることにわれわれは気付かないと大変なことになる気がする。

急激なとんでもない「自然の摂理」が働く前に・・・・、

地球は黙ってはいない。

9月、グアムのタモン湾にて撮影 サンゴ群の死骸

 
 
 
 平成19年11月1日
 
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