当たり前の話ではあるが、患者さんは医者を選べるが医者は患者さんを選べない、法律で決まっているし、医師の倫理からも当然である。ただ、病気だけを診ればいいのだが、その後の説明などに私の脳は「てんやわんや」になる。
患者さんには多種多様な方がおられる。説明はいいからとにかく早く診て欲しい方、いやいや待つのは平気だから丁寧に説明して欲しい方。お友達みたいに話をして欲しい方、専門家という医師という立場から威厳を持って話をしてもらったほうが心の落ち着く方。知識水準の高い方、そしてあまり高くない方。当たり前といえば当たり前の話ではあるが、患者さんの思い描く医院あるいは医者像は十人十色である。だから、初診の患者さんを診させてもらうときは相手の脳に描く医者像はどういうものだろうかということに「てんやわんや」になる。先日にはこんな読み間違いを犯してしまった。女性の方が結膜下出血(しろめの部分の出血)で初めて来院され丁寧な説明を希望された為、その状態をモニターに写し出して説明していたら脳貧血で倒れられてしまった(普通は若い男性にこのような事例はわりとある)。しかし、「てんやわんや」になりながらもできるだけ患者さんの意向を汲んだ接し方を続けたいと思う。
ただ、さらには厳しい医療制度改革がこれからドンドンと待ち構えている。てんこもり「てんやわんや」になりそうである。私は学生時代から現在に至るまで大学の法医学教室で様々な研究を行ってきているが、私自分がある日突然にストレスによる異状死体として発見されるのではないかと思い始めてきている今日この頃である。
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