ぶらり旅

院長 辻中 まさたけ

現在、なんばから桑名に向かう近鉄電車のなかでこの文章を書いている。実を言うと、昨日から大阪に1泊2日で「ぶらり旅」にでかけさせてもらい、こころの洗濯をさせていただいた。

「ぶらり旅」の中身といえば、大阪のミナミという街を足にマメができてしまったほど歩きに歩いた。まったくもって目的がないことが目的の旅である。マメは大勢の人々が早足で歩くのをうまく避けようとして足に急ブレーキをかけ続けたせいでもあるが・・・。

歩いているところにたまたま「なんばグランド花月」をみつけた。窓口へいったところ、ちょうど2回目の公演前で後ろの方ではあったがチケットがあるとのこと、思わず突撃。こんな計画性のない行き当たりばったりの旅ができたことは、最高のぜいたく。幸福感に満たされた私。

ところで、大阪で生きている人間はたくましい、と感じた。自分のことをけなしながら、うまく相手の心をつかみ、そして得をする。そして、そこにはそんな生き方をする自分に対するプライド。わたしは変なプライドのために損ばっかりしている。ふと、ある人が、大阪弁は直球勝負の東京弁と違って、カーブ、シュート、チェンジアップなど多彩な変化球で人を討ち取る、と言っていたことを思い出した。

帰路の途中で三重県山奥の車窓をなにげなく楽しんでいた。すると、田んぼの中を野良犬が走っているなー、と思ったら真っ黒のいのししクンであった。生まれてはじめて見た純野生のいのししクン、何気なく見ているといろんなものが逆に眼につき分かることがある。

ちなみに、こんな短い文章なのに1週間も途中から放りっぱなしであった、まったくぜいたくな「ぶらり文章」である。

おしまい。

 
 
 
 平成19年6月21日
 
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