その名は、「スチールドラゴン」
小春日和の休日に、友人とオートバイでショートツーリングに出かけた。1200ccのエンジンにガソリンを食べさせながら、とりあえず長島温泉までたどり着いた。そして、海を見ながらタバコをくゆらせた。そこまでは正直いって見事なナルシストで、自分がかっこいいと思った。ところが、どっこい!そこからが・・・泣き!!
ふと聞こえてきた黄色い悲鳴、見るとすぐ先の遊園地にそびえ立つジェットコースター、眼は思わずロック・オン、気楽な気持ちでつい乗りたくなってしまった。
フル武装に近いツーリング用の重いかっこうで、「なんで、わざわざこんな怖いことをしないとあかんのやー」と、つぶやきながら、おっさん二人が高校生ぐらいの若人たちと並んで待つこと50分、乗車する番となった。
「ガタ、ガタ、ガタ・・・」、上に向かっていくスチールドラゴン様は、普通のジェットコースター君達に比べると車輪が太く、またレール幅があるせいなのか、新幹線的乗り心地、まんざらでもない。しかし、下をみると人の姿は米粒ぐらいになり、その他のジェットコースター君達が地面を這う芋虫みたいに見える。
最頂点から先は、重力の存在感というものを強烈に感じた為にビビリ、目をつむってしまっていた時間が長いせいかあまり覚えていない。ただ、最初の急速落下が始まる瞬間がとても長く感じたこと、そして、太陽がきれいな西日を伊勢湾に映し出していたのが印象的であった。すまし顔で、平然と両手を挙げてかっこよくいきたかったのではあるが・・・。
下車した後、大げさではあるが、生きているという幸せな気持ちがボクの体を支配していた。五木寛之氏が最近紹介している、「死を想う」という意味が少し分かった気がする。
後で解かったことではあるが、スチールドラゴン様は本当に事故を起こして、しばらくの間休んでいたそうな。
追記:こんな行動を起こした自分は、やはり見事なナルシストである。
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