小説辻中学校 〜出会いと別れ〜

院長 辻中 まさたけ

すべてのいのちの源である太陽が暴力的とも思われるほどにさんさんと照りつける夏が終わり、収穫の秋というよりも冬支度の準備で気もそぞろになり、そして、なにか心のどこかにうら悲しさを感じる 、私にとって嫌な季節がまた今年も訪れようとしています。冷たい雨が降る、ほんとうに嫌な季節です。

今日も一人、大切な方とお別れがありましたが、私にとって一番嫌いなことは出会いです。出会いは楽しいし大切にしていきたいのですが、その後に訪れる別れはもっと嫌いです。患者さんそしてスタッフなどの仕事上での出会い、プライベートな出会い、すべての出会いが嫌いです。出会いがあれば必ず別れがあり、その別れる衝撃波に打ちのめされてしまって落ち込む自分・・・「愛別離苦」。私の心の奥底には嫌なことには背を向ける習性が隠れているみたいです。どうせ別れが先に待ち受けているならば、衝撃波をより和らげたい私の深層心理のために、深く付き合いたくない、好かれるよりも嫌われた方が楽ではないかといった自己防衛行動パターンをとるみたいです。私はタフに思われがちですが、実は脆弱な人間なのでしょう。今度この世に出てこられるとしたら、ひっそりと何処かにただずんで出会いも別れもない、何も語らずそして人を傷つけない「石ころ」になりたい。人の感情、行動にもっと異なった方法で鈍感な自分というものになりたいと真剣に思う今日この頃です。

おやおや、今日もまた新しい出会いがありました。一人の方が辻中学校に入学してきましたが、いずれ卒業していくのでしょう。「袖ふるなかも他生の縁」はもう疲れました。

合掌!

 
 
 
 
 
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