入院

院長 辻中 まさたけ

2月の中旬にある病気にて外来診察後に即入院をすることになった。当院にきていただいている患者さんには診療を急きょ休診あるいは診療時間を変更して本当にご迷惑をおかけした次第であるが、おかげさまで、現在は体調もよくなり退院の運びとなった。今回の入院は、日常の忙しさに勝手に理由を自分で付けた医師嫌いの病気に辛抱好きの私自身の自業自得である。自分で言うのもなんであるが、そのせいか、入院中の私は普段の私と異なり自分で考えても恐ろしいくらいに穏やかでおとなしかった。

入院中は諸検査等の合間には恐ろしくのんびりとした時間を享受することになった。病院給食を摂る以外には全く何もなく、ただただひたすらに病院の窓から見える景色を眺めながら、後述することを含め、あの遠くにいる白い車はどこに何のために走っているのだろうとか、今までにこの部屋にいた入院患者さんはこの窓から見える外の生活感あるいは季節感のある景色を見てどのように思っただろうかなどと考えていた。病室内は外界と異なり、寒い日も、そして、風の強い日も全く静かであり時間が穏やかにのんびりと流れる。今から25年ぐらいに前に同じく医師嫌いから診察を受けなかったことが原因で腹部手術宇受けることになったために緊急入院を国立京都病院の病室でも同じことを考えたのを鮮明に思い出した。あの時は、自分の勤務していた病院であったが医師として歩いて見ていた同じものが廊下や手術室が患者としてはまったく別物に見えうら悲しくなったの覚えている。

入院中に大腸内視鏡など様々な検査を受けいろいろな病気を指摘してもらったが、一番精神的にきつかったのが、胃のスキルス癌の可能性があると医師から言われた時である。その後、胃カメラによる各種検査の結果、まずは大丈夫と言われるまでの3週間は、今までの自分、そして、人生の終わり方、さらには、その後を具体的に考えた。また、今、辻中眼科に来ていただいている患者さんに迷惑をかけないようにするにはどうしたら良いのだろうかとか、私がいろいろと関係している医師会や市の学校保健会、さらには、学校医などをどうすべきだろうかなど思案に明け暮れた。

皆さんに迷惑をかけると思うが、退院したあとは、患者さんの気持ちを大切に感じながら全てにおいて自分の出来る範囲内で、医師として、そして、「辻中まさたけ」としてゆっくり歩いていこうと思う。

平成27年3月15日

 
 
 

 
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