夏の終わり

院長 辻中 まさたけ

お盆を過ぎても相変わらず暑い日々が続く日本ではあるが、わが家の庭の蝉の声(羽の音)も盛夏で元気いっぱい聞こえるアブラゼミの「ジージー・・・」という音に混じって、 夏の終わりを告げるツクツクボウシの声が聞こえ始めた。 夏の終わりというのはお祭りの後みたいな感じで、楽しかった思い出のなかに心が置き去りにされたような寂しい感じがする。 短い夏という言葉は、楽しいことはあっという間に過ぎるという心理に基づいている感じがする。 もちろん、実りある秋、幻想的な冬という考え方はあるが、これからやってくる長い冬に対しての少しだけの本能的な嫌悪感も根底にあるのではないだろうか? 大学生時代に香川県に住んだ海のない岐阜県で生まれ育った私は、海の男になりたくて海水浴場でバイトをしていた。 かき氷を作ったりゴザを板の間にひいたりして朝の9時から夕方まで働き、仕事が終わった後に瀬戸内海で泳いだものだった。 お盆まではとても忙しかったが、お盆を過ぎると一気にお客の数が少なくなり人影が疎らとなりそれまでとはうって変わって寂しくなった海水浴場で、 ひとりポツンと寂しそうにクラゲをお客が触れないように見つけては取っている自分を今でも憶えている。

↑この画像は今から30年前に高松市築港で撮影した高松と岡山県玉野を行き来する夕暮れのフェリーです。

8月14日には、亡くなられた数人の患者さんのご自宅前でこっそりと手を合わせてきた。 合掌

 
 
 

 平成24年8月19日
 
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