理系

院長 辻中 まさたけ

この時期になると、テレビでは大学受験に関するニュースが散見されるようになる。 今年は不況のせいか、資格を手に入れることができる理系の学部に人気が集まっているそうである。

ついつい、昭和57年の高校三年生当時の自分にタイムスリップしてしまう。 世界史、日本史、そして、現代国語が大好きであった典型的文系の私は、東京大学の文Vに行き、小汚い部屋のなかで古ぼけた書物を眺めながら一日中過ごす大学生生活を夢見ていた。 歴史の本を見ていると、まるでロールプレイングゲームをしているように心が躍った。 一方、数学では世の中は数式みたいに割り切れるなんてあり得なくて、その証拠にπという円周率は3.14592・・・と数字では表せないではないかと生理的に受け付けなかった。 特に数Vを勉強する時には、まるで昔のテレビ漫画でハクション大魔王が算数を解くときに蕁麻疹がでるみたいな感じで嫌でいやで何ともならなかった。

ところが、高校三年生ではクラスが理系と文系に分かれる東海高校、親の意向で医学部に行くことになり、理系のクラスにいったが隠れキリシタンのように隠れ文系となり、物理の時間などは授業の席が一番前でも、どんな難解な世界史の試験にも出そうにないことが書いてある、専門の大学生が買うようなマニアックな本を読んでいた。 志望校を決めるときはいたって簡単、浪人せずに国立で文系でも合格するところ、つまり現香川大学であった。香川大学は共通一次(今の統一テストの国立だけの参加版)で数Tが傾斜配点で200満点が100満点の半分になるという文系に有利、そして、2次試験は数UBと小論文だけの一次試験900満点、二次試験400満点の一次重視であった。 実際に医学部に入り医者になってみると、どうやら研究をなさる先生を除いて、やや文系の方が向いている気がする(除く院長)。つまり医学部を理系の学部として数えるのは少し首を傾げざるを得ない。これは試験科目の関係からだと思うが、医学部2次試験には物理Uより現代国語の方が将来の良き医師の育成のためには必要な気がする。 タイムスリップすると、なんとも鼻に付くいやなドヤ顔のおっさん文章になってしまった。 2次試験前に愛知県図書館の食堂でたまたま会って、「お互い都落ちやけど、ガンバロウ!」と言って一緒にカツカレーを食べた琉球大学医学部に行った私と同じ開業医の息子であった同級生のK君、元気にやっているだろうか?
 

 
 
 

 平成24年1月15日
 
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