院長 辻中 まさたけ

昼間にコーヒーを飲んでいたら、窓のすぐ外で一頭のアブラゼミが「ジジジジジ…」と鳴いていた。おやおや、このくそ暑い中でご苦労さまと思っていたら、「ジー…」と短い音を発した後にバサリという音が聞こえた。そして、外は静かになった。最後まで鳴き続けて死んだアブラゼミ一頭、6年もの暗い地下生活の後に僅か一ヶ月ほどの地上生活をして死んでいく定めではあるが、命ある最後まで鳴いているのかと思ったら自分の生き方が恥ずかしくなった。もうすぐツクツクボウシが鳴き始める。夏の終わりの象徴でもあり、僕にとって嫌な季節の到来を暗示させる。秋は収穫の季節ではなくうら悲しい冬の前ぶれである。


 
 
 

 平成23年8月10日
 
TOPページへ