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まるで、竜宮城より帰ってきた浦島太郎である。十年ぶりに高松に戻ってみると、学生時代の頃の思い出が、絶えることのない透き通った、清らかな泉のようにこんこんと溢れてきて、そして僕の心を揺さぶり突き上げる。あの頃は高松が嫌いで、早くはやく帰りたくて仕方がなかったのに何故なんだろう・・・・。今となっては懐かしくあの頃に戻りたい。
確かに昔ながらのものも多くみかけるが、新しいものはもっと多くみかける。昔ながらのものにみえるものも中身は全く異なっているものも多いはずで、建物は同じでも、中にいる友は見つけられないし、見つけたとしても十年前の友ではない。文章で書けば、あるいは常識的に考えれば当たり前の事であるが、現実に目の当たりにすると夢をみているあるいはみていた様な不思議な気がする。
人生は夢と頭で理解していても、自分一人が十年前に取り残されている様な寂しい気がする。自分の十年前と変わっているのに違いないのだが。弱音だが、もう十年さらに生きるのはつらい気がする。
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